1967年発売の初代リカちゃんは、日本のヴィンテージドールの中でも特に人気が高い存在です。
しかし、その人気と歴史の長さゆえにコンディションの幅が非常に広いのが特徴。
しかも、ネットで売買される場合はほとんど中古品です。
出品者独自の表記基準に大きく左右されるため「届いてみたら想像と違った」というトラブルが起きやすいです。
今回は、初代リカちゃんをネットで購入する際に知っておきたい注意点、独特なコンディション表記の解説、そして買い手がよく陥る失敗についてまとめています。
これから初代リカちゃんをお迎えしたい方の参考になれば幸いです。
初代リカちゃんとは

初代リカちゃんは、1967年にタカラ(現タカラトミー)から発売された、日本の国民的着せ替え人形『リカちゃん』の最初のモデルです。
特徴として、
- 黒目の中にある星(ハイライト)が一つ
- 栗色の髪に綺麗なワンカール
- 現代品とは異なる素材や丁寧な縫製の衣装
が上げられ、ヴィンテージならではの魅力と個体差がファンを引きつけています。
初代リカちゃんは55年以上が経過した長い歴史のあるお人形で、経年による変化(変色・髪のべたつき・ボディの割れなど)が顕著であり、大変魅力的ですが購入する際に不安が多く気になっているけど一歩踏み出しにくいお人形とも言えます。
ネット購入で特に気をつけたいポイント

左は太陽光のみで撮影した写真。右は室内の蛍光灯のみで撮影した写真です。
写真の撮り方ひとつで、映り方がかなり変化します。
撮影環境によって褪色・黄変(黄ばみ)・赤変・汚れ・カビ が目立ちにくく見えづらくなります。
- 画像加工で明度を上げており、写真が明るすぎる
- コントラストが低いor極端に高い
- 画像がぼやけている
こうした写真はあえて欠点を飛ばしている可能性があるため購入の際は注意が必要です。

初代リカちゃんは植毛の個体差がスゴイです。職人さんの手作業によるものなのでそこも初代リカちゃんの大切な味ですね。
左の画像だけ見て「アップスタイルだ!」と思ってウキウキで購入したら後ろ髪がスカスカだった…なんてことも。
実際にたくさん初代リカちゃんを手にしてきて、発売時期が古い方が植毛が丁寧に施されており、時期が新しくなるにつれて植毛の植わり方は粗く、毛量も少なくなっていく傾向があると感じます。
- 前から見るとしっかり植毛されているが後頭部はスカスカ(正面からの写真しかない場合は注意)
- 通常の状態では上手くセット出来ないのでかなり水分やのりを付けて一時的にセットしている(撮影された髪の毛の光り方にムラがある)
- カットされた髪を横から髪を被せたり、巻きでごまかしている
なにかと「想像と違う…」ということが起こりやすい髪の状態、一部の角度の写真しか無い場合は要確認です。
気になるなら購入前に質問しても良いポイントだと思います。

初代リカちゃんは55年以上経っているお人形。
どうしても日光や温度・湿度で日々劣化していきます。
経年劣化の代表例としては、
- 首・腰・手・足のゆるみ(可動の状態は画像からは読み解けません)
- 髪の毛のキシつき
- ボディの傷・ヒビ割れ
- 通常のお手入れでは改善しない汚れ・褪色
これらは写真でも気づきにくく劣化の感じ方に個人差もあり、説明文に書かれていない場合もあるため注意が必要です。

こちらは私が美品として購入した初代リカちゃんです。
初代リカちゃんに完全な新品同様はほぼ存在しません。
「新品に近い」「美品」などのリカちゃんの状態を表す言葉に基準はありません。
美の解釈は出品者によって様々です。
50年経過しても現存しているだけで貴重=美品…ということも言おうと思えば言えます。
この子は見えない所にゴムが溶けて付着しており、足は落ちない汚れがしっかり付いていました。
「美品」表記でも、確実に言えることは何十年もどこかで時間を過ごしている歴史のあるお人形だということです。
- 小さな塗装剥げ
- 顔のテカリ
- 髪の広がり
- ボディの経年劣化
など普通にあります。
出品者が美品だと思うかが美品の基準です。
これを踏まえて画像で自己判断する必要があります。

商品説明が少ない出品は特に色々なリスクが大きいポイントです。
- タバコ臭
- カビ臭
- 前の持ち主さんがメンテナンスしたため生じる柔軟剤臭
- 長期保管によるベタつき
- ボディ内部の汚れ
akaribbonのお問い合わせで多いのもこれです。
「お迎えしたけど耐えられないほど臭い…」
これはかなりショックな事です。
これらは到着して初めて分かるものなので、コンディション明記の少ない出品者からの購入や、自分でメンテナンス予定の無いお迎えは慎重に行う必要があるかもしれません。
香りは目に見えませんが、気になり始めるとかなりストレスです。
触ると手に移るぐらい臭いがキツイ子は改善するのに分解洗浄が必要になる場合もあります。
自然に匂いが抜けるまで放置しておくのも手ですが、かなり時間がかります。
よく使われるコンディション用語と解釈


「ミントコンディション」コレクターの間で新品同様、欠点がほとんど見当たらない最高ランクの状態を指す用語です。
元々MINTは造幣局を指す言葉で、「新品の硬貨のようにピカピカの状態」を指します。
パッと見の綺麗さだけでなく、色移り・汚れ・破損の有無まで厳しく評価されて最高評価とされるものです。
私はメンテナンス前提で初代リカちゃんを購入するためミントコンディションと呼ばれる品を購入したことはありません。
中古の価格はコンディションが大きく価格に影響してくるためミントコンディションと言われるものは凄く高価です。
(ミントコンディション…時々出品されているものを見かけますが、本当に綺麗な子も居れば、ちょっと疑問に思う子も居ます。)
初代リカちゃんの場合は基準が出品者ごとに大きく異なるため、後悔しないよう購入前にしっかりした写真確認が必須です。


うーん全体の印象は良いかな…という程度の事が多いです。
美品と書いてある子は時々お迎えしますが、そもそも美品だと思って迎えていません(-_-;)
50年以上経過したお人形なので、本当の意味での(?)美品ではない場合がほとんどです。
ホント美品の基準って何でしょう。明確に定めてほしいです。
参考までに私が出品する際「美品」と書く場合は
- ヘッド・手足の発色が良い
- 目立った変色・傷がない
これが美品の前提条件で、さらに
- 髪に遊ばれた形跡がほとんどない
- 内部の汚れがなく、針金が曲げられた跡がない
- 4代目や復刻初代リカちゃんと同時期に発売されたと言われても違和感がない
これほど使用感が無く綺麗であれば「極美品」として出品しています。
「極美品」として出すものは他所で「ミント」と言われても遜色ないのではと思っています。
「ミントコンディション」いつか実物を見てみたいですね。


汚れ・赤変・髪の毛の乱れや汚れが多少あっても当時品としては普通という意味で使われがち。
私は「まぁ普通。50年経過した古いお人形。そんなに悪い印象はない」というで理解・使用しています。
これを明記したうえで、許容できない箇所がある場合は後述する「難あり」別途記載してあることが多いです。


髪もボサボサですが、このように少し疲れた感じの初代リカちゃんがかなり多い印象です。
お迎えしてみると思ったより綺麗な事も多いです。
しかし「えぇ!?これは難ありにしておいてよ…」ということも結構あります。
前述した「美品」と併用されている事もあります笑
価格も平均的で宝探しのような楽しみ方の出来るコンディションですね。

難=大きな欠点。
後々取引間でトラブルにならないために明記しておかないといけない誤魔化せない良くない箇所が存在するということです。
- 散切りのカット
- 落ちないヘッドやボディの色移り(赤・黒・青が多い)
- 衣装破れ、植毛の抜け、ボディ割れ
- ヘッドの付け根に割れ
- 手足指の欠け
- カッターや針で開けられた穴や傷
- マジック等の落書きで付着した色素沈着
症状は様々ですが「難あり」となっていた場合は必ず詳細と画像を確認して購入する必要があります。
これらの難は「経年の割に綺麗」の中にしれっと含まれている場合もあります。
難ありの子にもメリットがあります。
普通の子よりお安く買える事です。
気にならない箇所の難ありちゃんならラッキーなので積極的にお迎えしています。

私はこの文言ほぼ入れています。
しかし見た目だけ綺麗で、ヘアスプレー等で髪をガチガチに硬化させているケースがあります。
このガチガチヘアに困っていますとakaribbonでメンテナンス依頼が入るケースもあります。
出品していると
「購入を検討しています。この子はヘアスプレーで固めていますか?」
「ワックスで固めていますか?」
と問い合わせが入ることもあります。
私が出品しているリカちゃんは固めていません。
それだけ綺麗に見えるっていうことが分かる嬉しいお問い合わせでもありますね。
気になる場合は購入前にに出品者さんに問い合わせて確認しても良いと思います。

うっすら色移りから濃く目立つ色移りまでかなりコンディションの幅が広いです。
色移りはほとんどのケース落ちませんので、お洋服で隠れない濃い色移りはお着替えさせたりしても気になります。


この画像の初代リカちゃんをこのまま出品する場合コンディションはどうでしょうか。
汚れています。髪もベタベタしている…さて説明欄に何て書きましょうか。
「実家から片付け中に出てきました。当時母が遊んでいた初代リカちゃんです。手足は問題なく動きます。髪はゴワゴワです。こちら素人判断ですが…(もう少し状態説明)ーーヴィンテージに理解ある方にご購入お願いしたいです。」のような感じで良く見かける文言です。
私は「素人判断です」=見落としがあっても責任とれません/許してくださいねの婉曲表現だと思っています。
「ヴィンテージに理解ある方」=古いからそりゃ汚れてて当たり前だと解って買ってるよ/野暮なことは言わないよの婉曲表現だと思っています。
中古ドールの世界では、出品者が悪意で書くというより、専門的なチェックはしていないので判断に自信がありません。
「古くて当たり前なのでトラブルは避けたいです」という保険の意味で一応付けている場合が多いと思います。
買い手側にとっては「思ったより難があるかもよ。でもクレームは入れないでください」くらいのつもりで理解して、気になる箇所は購入前に画像を自分の目でしっかり確認し、慎重に購入の判断をするのが正解です。
私の失敗例

角度で隠れるため、写真だけでは分からない初代リカちゃん購入あるある。
☞色んな角度の画像が多い子を選ぶ、問い合わせる等してカットがないと確信してから購入する。
しかし問い合わせてカットがないと分かった瞬間に他の購入検討者に購入されることも。
ヴィンテージドールは一期一会なのでみんな狙っています。
かわいい!一目惚れで即決しちゃった!!
届いたら首の緩み・思ったより黄変・褪色している。これが修復できない劣化の場合もあります。
☞でも顔が自分好みで可愛いって正義なんですよね、この子だ!と思った場合は臆さず購入して欲しいです。
思ったより難があっても、やっぱり顔が可愛くて購入した子はデメリットを上回る幸せを私にたくさんくれています。たくさん失敗はしましたが決して後悔はしてません。
カビ臭やタバコ臭は消しづらく、他の子と一緒に保管する場合にも影響。
匂いは思ったより他の子に移ります。
☞正直匂いに関しては運要素が強いです。
メンテナンスされてない初代リカちゃんを不用品買い取り業者さんなどから購入するとたばこ臭がする場合が多いです。
匂いは移るためうちに来たら即脱臭です。
初代リカちゃんは顔立ち・髪の量・ボディの表記・構造などで価値が全然違います。
☞最初は私もなぜこんなに金額差があるのか分かりませんでした。
ズタボロなのに3万円なのは最初期の初代リカちゃん(へそドット)だから
凄く綺麗に見えるのにこの値段なのは復刻版だから…
など知識がないと価格帯がわからないケースがあるかもしれません。
初代リカちゃんをお迎えするために

色々書いてきましたが、アンティーク品を迎えるドキドキと楽しさは特別です。
同じ年代・同じモデルでも、ちょっとした傷やボディの色の抜け方、眉の角度、瞳の丸みや髪の癖、初代リカちゃんはペイントも手描きで良く見ると顔も全部ちがう。
その初代リカちゃんの過ごしてきた時間、自分だけの初代リカちゃんを手に取れる事が、新品では絶対に味わえない魅力だと思います。
思ったより綺麗な子が届いて嬉しかったり、思ったより難があったとしても手入れや修復でさらに愛着が湧くこと、この子にしかない魅力が必ずあるので迎えても迎えても、次の子を探したくなる…
リカちゃんの沼が深い理由が良く分かります。
初代リカちゃんは知識を深めれば見えてくる景色も変わり、状態を見極めるほど奥深く、購入自体が楽しい研究のような側面もあります。
知識を持って慎重に選べば、理想的な一体との出会いがきっと近づくと思います。
特別なリカちゃんに出会えますように。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました♡
リカちゃんのリペアやヘアセットのご相談は、どうぞお気軽にご連絡ください。
akaribbon 
