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【017】ツーテールの初代リカちゃん♡後編

こちら後編です♡前編はこちら☟

【017】ツーテールの初代リカちゃん♡前編

前編では、長い年月を経て癖づいてしまった前髪の編み直しを中心にメンテナンスを行いました。
今回は、いよいよセンターラインの再構築から最終セットへ。
初代リカちゃんが本来の愛らしいトレードマーク、ツーテールを取り戻していく様子を丁寧に記録しています。
半世紀以上前に誕生したツーテール初代リカちゃん。
メンテナンスに携われることが奇跡とも言える大変希少なお人形。
当時の可愛さを蘇らせるための試行錯誤を経て
ついにツーテール初代リカちゃんが完全復活します♡

ついに前髪の編み直しが終了!

ツーテール初代リカちゃん。編み直しが崩れないように前髪をゴムで結んでいる。後ろはざっくりと二つ結びにされており、まだメンテナンス途中の画像

正面からのビジュアルの要、前髪の編み直しが終わりました!!!!
試行錯誤を重ねながら慎重に仕上げたので、既に達成感があります。
今回の初代リカちゃんは、前髪に少しカット跡があったため、いつもより難易度の高い施術でした。
正面から見ると、まだ全体がざっくりと結ばれていて整っていない状態なのですが
それでもすでにツーテールの可愛さがにじみ出ています。
今はまだサイド部分を仮結びのまま固定しています。
次はセンターラインから後頭部にかけて、長い長い編み直しを行っていきます。

現状のセンターライン植毛をのぞき見

ツーテール初代リカちゃんの髪を頭頂部が良く見えるように写した画像。センターラインの乱れが良くわかる。

編み直していくにあたってセンターラインのチェックを行っていきます。
髪を解いてテンションがかかっていない状態だと、多少乱れていても一見それほど問題なさそうに見えます。
しかし、実際にピシッとツーテールに結んだとき、見えてなかった乱れが表面化してきます。
そのため、最終的に美しく仕上げるには、植毛列を丁寧に整えておくことが欠かせません。
…改めて見ると、ものすごい毛量です。
この髪をかき分けると、内部にはほとんど毛が植えられていない頭皮が顔を出すなんて信じられません。
ツーテール初代リカちゃん独特の構造は、何度見ても感心します。
しかし、この長く続くセンターラインの植毛列を、一気に編み直すのはさすがに眼精疲労が凄そう…
集中力と時間の両方を必要とするため、編みやすいようにおおよそ5分割程度に区切って結び直していきます。
よし、頑張るぞ(^^♪

施術前の信じられないお姿…!

ツーテール初代リカちゃんの髪を頭が良く見えるように真横から写した画像。センターラインの植毛を5分割して結び直している。結び直した髪が立ち上がり、モヒカンのような姿になっている。

前髪の編み直しとは比べものにならないほど衝撃的な光景がこちらです。
見慣れている私でもふと視界に入ってくると「はっ!?」と驚くこの姿。
滑稽なヘアスタイルなのにやけに落ち着いた表情の初代リカちゃんが、なんともシュールで不思議な空気感になっています。
なかなかお目にかかれないこういう光景を写真に残すのが好きです(披露する機会はほとんどありませんが…)
この写真で立ち上がって見える毛束は、センターラインを5分割したもの。
1ブロックごとに約1〜2時間かけ、少しずつ丁寧に編み直していきます。
毛量の多い部分や植毛の絡まりがほどけにくい箇所、プラグ抜け(植毛の根元が抜け落ちている状態)など、小さなトラブルをひとつずつ解決しながら進めていく作業です。
リカちゃんとひたすら向き合う時間。
髪の流れや質感、昔の職人さんの植毛の癖などを感じ取りながら「この子はこうやって仕上げられたんだろうな」と思いを馳せます。
作業の合間に興味深い発見があるたびにメモを取り、ご依頼主様にも随時写真付きで現状報告をお送りしています。

植毛途中のプラグ抜け

ンター植毛を4センチほど編み終えたツーテール初代リカちゃんのヘッドを良く見える後頭部上部から撮影した。センター植毛が綺麗に復活してきている

いや~編みあがってきて美しいです!!!
この瞬間のために、Akaribbonの活動を続けていると言っても過言ではありません。(やや過言です)
編み込む毛が長めの子は髪がまとめやすく、比較的スムーズに編み直しが進みます。
途中経過は絵的に大きな変化が出にくいので、今回は半分まで編み上げた写真を載せています。
ここまで進むと綺麗になってきた実感が湧きます♡
しかしこのあたりで、思わぬ問題が発生しました。
植毛列を編んでいくと、空洞のプラグ(リカちゃんの毛穴)をひとつ発見(撮影忘れており画像ありません;;)
おそらく製造時、ミシンによる自動植毛の際に髪が通らず、空洞のままになってしまった部分だと思われます。
通常であればそのままでも大きな支障はありませんが、
今回は編み込みの流れの中で仕上がりに違和感が出る可能性があったため、一束だけ補植を行いました。
補植には、当時物の初代リカちゃんから採取した同年代の毛を使用しています。
色味・質感ともに完全に馴染むため、仕上がりに違和感はありません。

編み直し途中の正面顔

ツーテール初代リカちゃん。編み直しが崩れないように前髪をゴムで結んでいる。後ろはざっくりと二つ結びにされており、編み直した部分は見えないためまだメンテナンス途中に見える画像

だいぶ作業が進んだので、正面から一枚撮影してみました。
……うーん。
こうして正面から見ると、見た目の変化はほとんどありません。
後頭部では確かに編み直しが進んでいるのに、その努力の跡はこの角度からは全く読み取れません。
でも時間をかけている分不思議とこの途中の姿にも愛着が湧きます。
早く前髪のパーマをかけて、サイドのツーテールもふんわり仕上げていきたいです。
わくわくです。

センター植毛完成まであとすこし…!!

センター植毛を6センチほど編み終えたツーテール初代リカちゃんのヘッドを良く見える後頭部下部から撮影した。センター植毛が綺麗に復活してきている編み終わるまであと2センチほど

センターラインの植毛を、6センチほど編み終えました。
綺麗なラインがしっかり戻ってきていて、本来のツーテールが蘇ってきています♡
あと少し、残りはおよそ2センチほどです。
写真ではたった数枚の工程ですが、実際はかなりの時間がかかっています。
ヘッド内部には一切植毛がない構造ですが、地肌が透けることなく美しく仕上がってきています。
不思議…。
初代リカちゃん独自の設計の妙と、当時の職人の緻密さを改めて感じます。
編み直しの終わりが近づくにつれ、少しだけ寂しくなってきます。

「もうすぐこの初代リカちゃんと向き合う時間が終わってしまうんだな」

と漠然とした寂しさがこみ上げてきて、もっとできることはないかな、もう少し綺麗にしてあげたい。
そんな気持ちになりますが、行き過ぎたメンテナンスは時に毒になります。
古い素材をいたわりながら、必要なことだけを丁寧にこなしていくのが一番いい。
ヴィンテージリカちゃんの修復において最も大切なことのひとつだと感じます。

センターラインが編みあがりました!

ツーテール初代リカちゃんの後ろ姿。センターラインの植毛列がメンテナンスによって綺麗に復元されている

均一に整った植毛列が復元され、見ていて気持ちがいいです。
何度見ても素晴らしい仕上がりです。
達成感にうっとり♡
重なる髪の束が互いの隙間を自然にカバーし合って、後頭部に理想的な丸みを生み出しています。
今は仮結びの段階なので、少しきつめにゴムで固定しています。
最終的なセットでは柔らかいカーブを描くように、やや緩めに結ぶ予定です。

直角の前髪

ツーテール初代リカちゃんの横顔。二つ結びされている。前髪を固定していたゴムを解き前髪が顔に対して直角に伸びて強い癖がついている事を説明した画像

編み直しを終え、ようやく前髪を固定していたゴムを切って外しました。
長かった~(^^
初代リカちゃんの横顔のライン本当に美しいです。
しかしゴムでしっかり固定していた時間が長かったためか、前髪がまるで重力を無視するかのように、しっかりと真横に伸びています…笑
ツーテール部分をしっかりと縛ってあるので、前髪と後ろ髪が混ざる心配はありません。
次はこの重力に逆らった前髪を整えて、最終工程であるツーテールのお湯パーマへと進みます。
お湯パーマでセットすると一気に可愛く美しくなっていきます。
わくわく♡

お湯パーマ前のロットを巻いた姿♡

ツーテール初代リカちゃんパーマ直前のパーマ用ロットを頭に巻き付けた状態を様々な角度から撮影した画像。前髪は既にお湯パーマによって綺麗にメンテナンスされている。

アップスタイルの可愛さが溢れている!!!
ロットを巻いた初代リカちゃんの姿が大好きです。
今回、前髪を整えている最中の写真を撮り損ねてしまいました(・・;)
夢中になって作業していると楽しすぎて我を忘れて、akaribbon用の撮影を飛ばして気づけば完成まで突き進んでいることが多くて多くて……反省です(^o^)
お湯パーマも、少しずつ慣れてくるとロットの本数や巻き角度が定まってきて、再現性のある美しい仕上がりを生み出せるようになっていきます。
ツーテールの初代リカちゃんは、まだ施術の経験数も少なく、毎回が試行錯誤の連続です。
この子の場合は毛質がとても柔らかいので他の初代リカちゃんよりもカールが定着しにくい印象があるのでロットの本数を増やしてみたり、お湯パーマの温度を上げてみたり…
この写真を撮影した後も納得がいくまで何度かロットを巻きなおしたりしています。
どんな仕上がりにするか想像しながらロットを巻いて、仕上がりがその通りになればとても嬉しいし
予想外の結果になっても「このパターンではこういう結果が生まれる」というデータが取れるので、それはそれでとても嬉しいです。

ツーテール美人♡完全復活

完成したヘアスタイル。ヘッドのみの状態を様々な角度から撮影した画像。ツーテール初代リカちゃんのツーテールの特徴的なカールがしっかり再現されている

可愛い!!!
何度見ても、このツーテール初代リカちゃんの仕上がりは本当に可愛いが過ぎます。
特に左下の画像なんてプリティすぎて時を忘れて眺め続けてしまいます…
ツーテールのカールの再現も満足いく仕上がりになりました♡
当時のカタログ写真から抜け出してきたような完成度です。
ヘッドのみの状態で見ると、また違った魅力があるように思います。
コロンと丸みのあるシルエットがとても美しく、あえてヘッドのみで撮影して記録に残している事も多いです。
うちにはお湯パーマ後にヘッドを乾燥させておくために作った自家製の台があるのですが、可愛すぎてこのままそこに飾っておきたいぐらいです(*^^*)♡
実は、私の元にもツーテールの初代リカちゃんが1体いるのですが、お迎えしたときの報告をここでして以来まだボサボサのままです。
つい時間のある時に…とかまた今度でいいやと思っているうちに、気づけばこんなに日が経っていました。
でも、今回こうしてご依頼の子が輝くように蘇った姿を見ると、
うちの子も早く輝く姿にしてあげたいなと思います。

おへそ付きドット無しのボディ

ツーテール初代リカちゃんのボディを分解・パーツごとに分けて並べてある。背中にTAKARA MADE IN JAPANのロゴが入っている。おへそはあるがドットはついていない

ヘアセットがひと段落して、ボディの洗浄を行いました。
この子のボディは「おへそ付き・ドット無し」の最初期にあたるタイプです。
とても貴重な仕様で、状態もかなり良好です。
見れば見るほど、55年以上も前に作られたとは思えないコンディションです。
経年による黄変などもなく、箱入り娘のような印象です。
こうして半世紀以上経っても変わらず
リカちゃんが痛まないように大切にされ、守られ続けている事実が本当に嬉しいです。
おへそボディは、肩から股下までが一枚の薄いプラスチックで形成されているのが特徴です。
おへそ付きのボディは実際に触れてみると、経年による個体差がとても大きく
しっかりした質感のものもあれば、手足を動かしただけでヒビが入りそうなほど脆くなってしまっている繊細なボディもあります。
この繊細さが、当時の素材や経年による個体差の味でもあり、同時にメンテナンス時の緊張感を伴う部分でもあります。

after:仕上がり確認

ツーテール初代リカちゃんのヘッド部分を拡大してのbefore→after比較
正面顔と左側のツーテールの比較が出来る
ツーテール初代リカちゃんのヘッド部分を拡大してのbefore→after比較
アオリから見た顔と右側のツーテールの比較が出来る

ふつくしい…♡
改めてメンテナンス前と見比べてみると、同じリカちゃんとは思えないほど印象が変わっています。
髪型というのは、ただのスタイルではなく髪型含めてその子の感情そのものなのでは?と感じます。
ツーテールの髪型には、スタンダードスタイルのリカちゃんにはない
やんちゃな可愛さと天真爛漫さがあふれています。
この子が本来持っていた魅力を再び引き出せて本当によかったです。
初代リカちゃん達はどうしても前髪が乱れがちで、この子も例外ではありませんでした。
特にカールのかかったヘアスタイルは維持がとても難しいです。
だからこそ現行のスタンダードである4代目リカちゃんはストレートヘアが多いのかもしれません。
それにしても、このツーテール。
当時の持ち主の子たちは、どうやってこの髪型を維持しながら遊んでいたんでしょうか?
遊ぶうちに徐々に絡まってボサボサになって…一生懸命お手入れして…想像するだけで微笑ましくもあり、ちょっと切なくもあります。
もしかしたら、あまりにも繊細で維持が難しかったからこそ、ツーテールスタイルは早々に廃盤になってしまったのかも…?
それも今となっては分かりませんが色々妄想は膨らみます…
髪のクセを整えて、正しい位置に一本一本の毛を戻していく作業は、想像以上に繊細で時間のかかる工程です。
けれども、大切な初代リカちゃんだからこそかける時間に意味があり、直してあげる価値があるんだなと思います。

before→afterまとめ

ツーテール初代リカちゃんの立ち姿。正面から全身を撮影してのbefore→after比較
ツーテール初代リカちゃんの立ち姿。背面から全身を撮影してのbefore→after比較

最高の仕上がりです♡
写真を見ていると、まるで初代リカちゃん自身が嬉しそうに微笑んでいるように見えます。
植毛を少しずつ整えながら、長い時間をかけて編み直してきました。
終わってみると、面白い小説を読み終えたあとのような少しの疲れと喪失感。
それを遥かに上回る達成感と満足感があります。
私の「リカ活」は、こうしてメンテナンスをさせていただける可愛いリカちゃんたちがいてこそ成立する活動です。
リカ活を始めた頃、いつか自分の手でメンテナンスしてみたいと思っていたあこがれのお人形が何体もいました。
ツーテールの初代リカちゃんもそのひとりです。
大切な子を信頼して私にメンテナンス託してくださったことに、心から感謝いたします。
これからも、リカちゃんの素体に無理をさせず、その子が本来持っている可愛さを自然なかたちで引き出すお手伝いを続けていきたいと思います。
ツーテールの初代リカちゃん、ご来店ありがとうございました。
たくさん可愛いお洋服着せてもらってね♡

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました♡
リカちゃんのリペアやヘアセットのご相談は、どうぞお気軽にご連絡ください。

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