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【017】ツーテールの初代リカちゃん♡前編

1967年発売、初代リカちゃんの中でも最初期のツーテールヘアを持つ個体は非常に希少です。
数ある初代リカちゃんの中でも幻と呼ばれることの多いツーテール仕様の子。
現存している個体が非常に少なく
「本当に存在するのか?」
「情報が少なくて見分け方が分からない…」
と私も出会うまでは半信半疑でした。
そんなツーテール初代リカちゃんがこの度akaribbonへメンテナンスのご来店♡
構造・植毛パターン・前髪の編み方までを実際の修復記録をもとに詳しく解説していきます。
これまでの研究・メンテナンス経験から「おへそドット無し」や「狭間期仕様」など、製造時期による仕様差にも触れています。
半世紀以上前の貴重で可憐なツーテールが、再び息を吹き返します♡(^^)

本日のお客様:初代リカちゃん(ツーテール)

ツーテール仕様の初代リカちゃん。施術前の全身の写真、前からと後ろからを1枚に纏め、わかりやすく説明した画像

本日のお客様は、1964年の最初期に発売されたツーテール仕様の初代リカちゃんです♡
ツーテール仕様のリカちゃんは、現存数が非常に少なくなかなかお目にかかることのない貴重な子です。
レトロなリカちゃんが大好きで、いつか手に入れてみたいと考えているコレクター様も多いのではないでしょうか。
そんなツーテールの初代リカちゃん。
ぱっと見て「ん?」と気づかれた方も居るかもしれません。
この初代リカちゃんはおへそにドットがありません。
初代リカちゃんの最初期モデルといえば「おへそドット付き」が特徴と言われています。
しかし、このツーテールちゃんにはドットが見当たりません。
「これはボディの入れ替え?」「うーん怪しい…?」
ドット無しツーテールちゃんはそう珍しい事ではないです。
これまで5体ほどツーテールの初代リカちゃんをメンテナンスしてきましたが、そのうち2体には背中のドットがありませんでした。
リカちゃんは発売以来幾度となくモデルチェンジを繰り返してきました。
しかし、モデルチェンジが行われたからといって旧モデルが即廃棄されたという訳ではなく、在庫のパーツは無くなるまで丁寧に使い続けたと考えられます。
このタイミングで旧モデルと新モデルの仕様が混ざった
皆様大好き「狭間のリカちゃん」が生まれます。
これは、リカちゃんの製造・販売の過程を考えるととても興味深いです。
たとえばニューリカちゃんなのに初代リカちゃんのように下アイラインが無いもの、4代目リカちゃんなのに目の破線が無いものなど、過渡期ならではの個性が見られます。
こうした仕様の違いからも旧タカラ(現タカラトミー)が「より良いものを作りたい」と努力を重ねてきた姿勢が、リカちゃんを通してひしひしと伝わってきますね♡
レア中のレア、ツーテールの初代リカちゃん、綺麗にしていきましょう(^^)

before:状態確認と所見

ツーテール仕様の初代リカちゃん。施術前のヘアの写真、様々な角度から撮影したものを1枚に纏め、施術前のヘアスタイルの乱れをわかりやすく説明した画像

今回のリカちゃんは、最初期特有の幼い顔立ちをしています。
ヘッドの状態は非常に良好で、褪色もほとんど見られません。
これまで観察してきた最初期のヘッドは経年により素材が固くなりやすく、可塑化の進行によって小顔になっている個体が多い傾向にあります。
一方で、黄変やその他の変色が見られるケースはほとんど確認したことがありません。
また、まつげ部分のプリントが淡いグレーで、全体的に優しい印象を与える子が多いように思います。
また、ご依頼主様よりフェイスプリントのにじみや、アイラインの薄くなっている部分についてもご心配をお聞きしておりましたが、ヘッドの状態は全体的にとても良好で、最初期ならではの風合いや文化的価値がしっかり残っていると思います。
無理に手を加えず、このままの魅力を活かす方向をおすすめしました。
ベビーフェイスのリカちゃんは、どの角度から見ても本当に愛らしいですね。ファンが多いのも頷けます。
一方で、これよりやや後期に製造されたと推測される「おへそ付き・ドット無し」のリカちゃんはリップがビビッドなピンクで、眉やまつげも濃いめにプリントされており、エレガントで大人っぽい表情をしています。

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【012】初代リカちゃん(おへそ付き・ドットなし)

こうした仕様の違いからも、製造時期のわずかな変化がリカちゃんの印象に大きく影響していることがわかります。
髪の毛についてはややパサつきが目立つものの、毛量・植毛の状態はとても良好で、整えれば美しく蘇りそうです。
このあたりも初期のリカちゃんの品質の良さを感じさせますね。

嬉しい報告

ツーテール仕様の初代リカちゃん。正面顔のアップ。パッと見てツーテールだとは判断し辛い髪型。様々な方向に絡まっている
ツーテール仕様の初代リカちゃん。後ろ髪が乱れている様子。パッと見てツーテールだとは判断し辛い髪型。様々な方向に絡まっている

一見ツーテールだとは思えない見た目をしています(・・;)
しっかり遊んでもらっているリカちゃんは元がどんな髪型だったか写真だけではわからないことが非常に多いです。
今回ご依頼主様は、なんと「Akaribbonの目利きポイント記事を読んだおかげで、この子に出会えた」とお話しくださいました(^-^)
「掲載されていた写真を参考に、自信を持ってお迎えすることができました」とのお言葉をいただき、とても嬉しく思いました。
今回来店されたツーテールの初代リカちゃんは、私の記事で紹介した初代リカちゃんと共通点の多い状態をしています。

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ツーテール仕様の初代リカちゃんをお迎え♡見分け方と構造の特徴も紹介

この特徴を見抜いて「ツーテールで間違いない!」とお迎えされたご依頼主様の観察眼と勇気には脱帽です♡
微妙な違いを見分けるには、相当な経験と愛情が必要ですね。

植毛の状態を検証

ツーテール仕様の初代リカちゃん。前髪を引っ張って長さや状態を確認している様子

ご依頼主様から、額の植毛ライン中央部分に髪のカットがあるとのご相談をいただきました。
前髪の短くなっている箇所について観察したところ、経年による劣化で髪が切れてしまったか、もしくは後方の髪が前に回り込んできて気になり、手でカットされた可能性が考えられます。
実際にその部分には、自然な断面ではなくハサミで軽く整えたような痕跡が見られました。
ただし、切れている毛には幸い一定の長さが残っており、仕上げ後には目立たない位置に収まりそうです。
そのため今回は無理に修正を加えず、現状のまま施術を進めながら全体のバランスを確認していく方針といたしました。

現状の前髪は、非常に大雑把な編まれ方をしており、地肌が見え髪同士が絡み合っている部分も多くありました。
そのため解ける部分は一度丁寧にほどき、本来の毛流れを確認したうえで、肌が見えないよう自然なラインで再編み直しを行う事にしました。
この作業で、ツーテール特有の可愛らしい前髪の形を復元し、当時の印象に近づけていきます。
カットのように短くなってしまっている毛については、すでにその部分に十分な密度で髪が植えられているため、毛量を補う追加植毛を行うとヘッドへの負担が大きく破損リスクが高まる恐れがあります。
ただし、ツーテールとして仕上げた際に大きく地肌が見えるなどの支障が出る場合には、破損の危険がない箇所に慎重に補助的な植毛を施し、自然にカバーしていく予定です。
一見些細な髪の乱れに見える部分でも、美しさを引き出すための大切な工程です。
初代リカちゃんに極力ダメージを与えず、当時の雰囲気を保つこれこそが、ヴィンテージリカちゃん修復の醍醐味ですね♡♡

ツーテール初代リカちゃんの植毛の特徴

ツーテール仕様の初代リカちゃん。植毛の特徴が分かる写真

編み直しの準備として、まずは頭頂部の植毛列を丁寧に整理していきます。
ここで改めて注目したいのが、ツーテール初代リカちゃん特有の植毛パターンです。
ツーテール初代リカちゃん最大の特徴は、ガイドラインに沿って必要最低限の部分にしか植毛されていないという点。
スタンダードヘアやアップヘアの子のように、内部までしっかり植毛されているわけではありません。
もしスタンダードタイプと同じように内部まで植毛してしまうと、髪を結んだ際に毛量が過剰になり、仕上がりのバランスが崩れてしまいます。
ツーテール初代リカちゃんは、この必要な部分にのみ植毛するという設計が非常に計算され尽くされた仕様といえます。
スタンダードヘアやアップヘアのリカちゃんでは、長年の遊びの中で地肌が目立つ部分が現れてきて
「少し禿げてるな?」と感じることがありますが、ツーテール初代リカちゃんの場合、内部には毛が存在しないため、そのレベルをはるかに超えています。
…つまり、ツーテールを解いた姿は見事なまでに地肌が丸見えで、寂しい印象すら与えます。
(正直に言えばつるっ禿げです)
髪を解いて遊ぶことは想定されていなかったのか…
しかし、この内部に毛がない構造こそが、あの完璧なバランスを生み出しています。
この仕様は、当時の初代リカちゃんツーテールにのみ見られる独自の工夫です。
以降の世代のツーテールリカちゃんでは、改良が進み、内部にも植毛が施されるようになりますが、結果、初代特有の繊細なラインや軽やかさも少しずつ変化していきました。
「必要なところにだけ美しく」初代ならではの見事な仕上がりです。

前髪のT構造

ツーテール仕様の初代リカちゃん。前髪のTになっている構造がアップで撮影されており分かりやすい写真

ツーテール初代リカちゃんの前髪は、非常に特殊で複雑な構造をしています。
前髪の編み直しは

① ツーテールへと繋がるセンターラインに沿った長い植毛
② 額に沿うように配置された短い前髪の植毛
③ そして頭頂部ガイドラインに沿って配置された髪の列

この3種類の毛束を混ぜ合わせながら編み直す必要があり、整えるだけではなく、構造を理解したうえで再構築する作業になってきます。
編み直しの作業は、髪を解く段階から極めて繊細な工程です。
劣化の進んだ髪の毛は非常に切れやすいですし、一度解いてしまうと、再び編み終えるまでの間は地肌が露出した状態が続きます。(自らの手でリカちゃんを禿げさせている状態は持ち主の精神衛生上良くないです、ソワソワしてしまいます。)
再編み後に「元より良い状態になるかどうか」もわかりません、まさに施術者の腕次第。。。
毎回覚悟を持って臨む必要があります。
私が初めて前髪の編み直しに挑戦したのは、お気に入りの2代目リカちゃん。
当然ながら、初挑戦はうまくいかず失敗に終わりました。
そのときはかなり落ち込みました。
何もかも分からない状態でのチャレンジで当時は編み直しに関する情報もほとんどなく「私が解いたせいでこの子をダメにしてしまったのでは…」「なんてこと…もう直せないかも…」と、自分を責めたことを今でも覚えています。
今ではこの作業が一番好きな工程になりましたが、それでも一瞬たりとも気を抜けない緊張感があります。
それほどに繊細で、リカちゃんの印象を左右する大切な工程です。
ガイドラインに沿った頭頂部の毛は、ツーテール部分に直結する最も重要なエリアのひとつです。
そのため、左右のバランスを意識しながら均等に編み込むことが不可欠です。
また今回は、前髪にカット跡が見られる個体のため、毛量が少ない部分を考慮しつつ、自然な流れを保つよう調整していくことが重要になります。

編みこみ前の髪の整理

ツーテール初代リカちゃんが髪を、頭頂部・サイド・センターライン部分のセクションごとに分けてゴムで結ばれている。

信じられないお姿の初代リカちゃん…まるで別人のようです(;・∀・)
今回のツーテール初代リカちゃんも、頭頂部・サイド・センターラインの3つのセクションに分け、それぞれをしっかりとゴムで結んで分けています。
これはどの子でも編み直しを行う際に必ず行う作業ですが、特にツーテールの場合、この状態はかなりインパクトのある光景になります。
この奇怪な姿こそが、美しく整った髪型へと導くための重要な下準備なのです。
こうして奇怪な見た目にしてまず最初に行うのは前髪の編み直しです。
そのため、作業中に邪魔にならないよう後頭部の髪はすべて後方に避けて固定します。
ただし、センターラインに沿った植毛のうち、おでこ付近の毛は前髪と密接に関わる部分のためその部分は避けずに前髪側として区分けしています。
この区分け作業をどれだけ丁寧に行うかで、後の編み直しの精度と効率が大きく変わります。
適当な分け残しがあると、「あれ? これはどこの髪だったっけ…?」と迷う時間が生まれてしまいます。
そのため、編み直し前は、一束一束の意味を理解しながら正確にセクションを整理することが大切です。
映えない姿ですが、この奇怪な姿もとっても愛らしいです。

いよいよ編み直し

ツーテール仕様の初代リカちゃん。区分けされた前髪部分が拡大されており良く見える画像

いよいよ、前髪の編み直し。
詳しい編み直しの手順については、過去の記事で解説していますので、今回は省略します。
※今回はそれ以外の内容をたくさん書きすぎてしまいました笑

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前髪編み直し(前編)【ヘアセット】初代リカちゃん♡前髪編み直し(前編)

前髪は右半分・左半分に分けて施術していくため、片側あたりわずか2cmほどの植毛列しかありません。
その中で、手前と奥の植毛の量を見極めながら、仕上がりに違和感が出ないよう慎重に編み込んでいきます。
数本の違いで印象が変わるため、緊張の瞬間です。

失敗しました①

ツーテール仕様の初代リカちゃん。編み上がり後の失敗例画像①失敗理由:中央は上手く編めているが全体の毛量を捉えきれず前髪右端の毛量が足らず地肌が露出してしまっている

しっかりと編み終えたものの、仕上がりに納得がいかず失敗と判断しました。
失敗の理由は、中心部分は上手く編めているものの、全体の毛量を捉えきれず結果的に右端(耳側)の毛量が不足してしまったこと。
ツーテールにした際に右端の地肌が赤丸の位置で大きく露出してしまっています。
このままでは理想の仕上がりにはならないため、解いて再度編み直すことにしました。

失敗しました②

ツーテール仕様の初代リカちゃん。編み上がり後の失敗例画像②失敗理由:全体の毛量を捉えきれず前髪右端の中央の毛量が足らず地肌が露出してしまっている

再度チャレンジしましたが、再び失敗。
なかなか思うようにいきません。
この失敗は途中経過では気づきにくく、ヘアセットを完成位置までテンションをかけて引っ張った状態で初めて問題が分かります。
そのため、最後の仕上げまで常にドキドキです。
今回の失敗理由は、赤丸部分中央の毛量が足りず地肌が露出してしまったこと。
やはり全体の毛量バランスを完全に把握するのが難しいです。
しかし、完成で地肌が露出してしまうことだけは絶対に避けたいため、再び解いてやり直します。
この工程はリカちゃんの印象を決定づける部分なので、妥協は一切できません。

失敗しました③

ツーテール仕様の初代リカちゃん。編み上がり後の失敗例画像③失敗理由:全体の毛量を捉えきれず前髪右端の中央の毛量が足らず地肌が露出してしまっている

…三度目の失敗ともなると、もう書くこともあまりありません。
全く上手くいきませんが、こういう日もあります。
何が悪かったのか、どのように改善できるかなぁと何度も試行錯誤を繰り返します。
あまりにも納得のいかない結果が続くときは、無理せず日を改めます。
焦らず丁寧な作業を行っていくことで、今日は意外と上手くいったなという日が必ず訪れます。

前髪編み直し完了♡

ツーテール初代リカちゃんの前髪が修復されしっかり編みあがった様子。ツーテール植毛の特徴のTラインが綺麗に編みあがっている。

ようやく、綺麗に編み上がりました♡
確認しながら、心から安心しました。
実はここに至るまでにさらに何度か失敗し、細かな修正を重ねています笑
最終的には、髪の本数を1本ずつ数え、編んでいる部分の毛量が完全に均等になるように調整しました…。
この写真では、もう片側の前髪も仕上げ終わった後の状態です。
ツーテール特有のTラインがしっかり再現され、初代リカちゃんの可憐な雰囲気が戻ってきました。
絶対にほどけてほしくないので、編み上げてすぐにしっかりゴムで固定しました。
ここまでくると、まるで自分の子の髪を結っているかのような愛着が湧いてきました。

次回!後編、素敵な素敵なツーテールヘア完成

前髪が綺麗に編みあがりほどけないようにしっかりゴムで結んで保護している。後ろはまだボサボサの状態のツーテール初代リカちゃん

次回は、残りの編み直しからお湯パーマ、完成まで一気に進みます。
一見ツーテールとは分からない、ボサボサだった初代リカちゃんが本来のツーテールの姿へ蘇ります。
その劇的なビフォーアフターは、ぜひ【後編】でご覧くださいね♡

後編はこちら☟

【017】ツーテールの初代リカちゃん♡後編

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