1967年発売から半世紀を超えてなお愛され続ける初代リカちゃん。
このたび、私がメンテナンスしてきたヴィンテージドール・リカちゃん達の数が200体になりました。
200体のリカちゃん達


一体ずつ時間のかかる作業ではありますが、振り返ってみるとあっという間でした。
コツコツ積み重ねてきた日々が、こうして200体という節目を迎えて不思議な嬉しさを感じています。
最初にメンテナンスを始めた頃は、正直ここまで続くとは思っていませんでした。
綺麗になっていくリカちゃんたちを見るのが楽しくて「飽きるまではやってみようかな」くらいの気持ちでした。
最初の一体

200体の中でも、特に忘れられないのは一番最初に私の元にやってきた初代リカちゃん。
本当にボロボロの状態でやってきた初代リカちゃんは、言うならば廃棄寸前のような状態でした。
当時は何の知識もなく、リカちゃんについて分からないことや気が付いたことをノートに書きながら
手探りでメンテナンスしていきました。
埃まみれの顔をお湯で丁寧に洗うと思ったよりもずっと綺麗な肌色、隠れていたチークやリップが現れた時の感動は今でも鮮明に覚えています。
200体を通して


200体のリカちゃんを綺麗にしてきて、感じたことがあります。
それは、同じ時期に販売され、同じ50年以上という時間を過ごしてきても、今の姿は一人ひとり全然違うということ。
髪がカットされていたり、ボディが褪色していたり、ペンでお絵描きされていたり、内部の針金がサビついていたり…。
過ごした環境や遊ばれ方によってこの子だけの50年が刻まれています。
そのことに気がついたとき、リカちゃんの個性はこれまでの歴史で作られているんだ…と深く納得しました。
世界に1人のリカちゃん

akaribbonはやってきたお人形の全てを綺麗にすればいいという考え方ではありません。
例えば、まだ十分に綺麗な髪があるのにフル植毛をすることや、残っているペイントを無理に剥がしてフルリペイントすることは、私のポリシーには反します。
個性を大切にすることがその子の歴史を大切にすることでもあると考えるようになりました。
ご依頼主さまの気持ちに寄り添うこと


私の所へ来てくれたリカちゃんと、メンテナンスを依頼されてご来店されるお人形
メンテナンスにかける時間と愛情は同じです。
しかしお預かりする子は私のお人形ではありません。
無理にメンテナンスを勧めることは決してせず
akaribbonに来てくれたことが、その子とご依頼主さまにとって幸せなイベントになるように。
この気持ちを絶対忘れないよう大切にして作業しています。
100年先まで愛されるリカちゃんを目指して

これからは飽きるまでとは言わず
可愛くなりたい
綺麗にしてほしい
という思いを持ってakaribbonに来店下さるリカちゃんが存在する限り
メンテナンスを少しずつ確実に積み重ねていきたいです。
akaribbonを通じて、ヴィンテージリカちゃんの魅力をこれからもここに残し続けていきたいと思っています。
私の願いは、私がいなくなってからもリカちゃん達が変わらず愛され続けていること。
100年先まで、未来の誰かにまた手渡される存在であってほしいな。
それが、今の私の目標です。
最後に

今ここにいるリカちゃんは、私たちと歴史を共有している特別な存在です。
その事実は、たとえリカちゃんが手から離れたとしても変わりません。
リカちゃんには、確かにここに居たという時間が刻まれて残り続けます。
沢山のリカちゃんの中から、その子があなたのもとに来たのは特別な縁だと思います。
どうか、リカちゃんとの毎日が幸せいっぱいでありますように。
200体メンテナンスをして改めて思うのは、どの子も必ず新しい輝きを取り戻せるということです。
これからも一体一体のリカちゃんと向き合いながら、少しずつ確実に歩みを重ねていきたいと思います。
少し整えてあげたいな…と思う子がいましたら、どうぞお気軽にご相談くださいね♡
akaribbon 
