1970年代、初代リカちゃんと並んで多くの子どもたちに愛された「花のトリオ」。
その中でも、ひときわ活発でスポーティーな魅力を放っていたのが、花園順子、通称「ジュン」様です。
ぱっちりしたお目めに、品のあるブロンドヘア。
ところが今回お預かりしたジュン様は、少々切ない姿でのご来店…
一見、後ろ髪がバッサリとカットされているようにも見え、前髪は短く、まるで噴水のような不思議なスタイルに。
ご依頼主様からは「恐らくカットされているので植毛用に」と髪の毛も預かりました。
では植毛を…と決めるのはまだまだ早いかもしれません。
もしかしたらこれは「編み方次第で元に戻せる髪」なのかも。
今回は、そんなジュン様の不思議なヘアスタイルの真実に迫るべく、髪の構造を丁寧に紐解きながら、地毛のみで美しく蘇らせた再生記録です♡
本日のお客様:花園順子様(花のトリオ・ジュン)
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本日のお客様は、1971年に発売された「花のトリオ」のひとり、ジュンこと花園順子様です。
「花のトリオ」という名称を聞くと、「花の中三トリオ(山口百恵さん・森昌子さん・桜田淳子さん)」を思い出す方も多いかもしれません。ですが実は、ジュン様やアヤ様が登場したのは1971年頃で、花の中三トリオよりも少し早い時期だったようです。つまり、「花のトリオ」という名前は、『花の中三トリオ』を元にしたものではなく、当時流行していた“花の〇〇”という言い回し、「花の女子高生」や「花の応援団」などのような、若さや華やかさを表す表現を取り入れた当時流行のネーミングと考えるのが自然かもしれません。このあたりにも、1970年代らしい言葉のセンスが感じられて素敵ですね。
そんな花のトリオの中では一番活発で、スポーツが大好きな女の子。
カトレアの花を愛し、パッチリとした瞳が印象的なジュン様は、その華やかなルックスからも多くのファンにレディリカフレンドとして愛されています。
今回はジュン様の自慢のブロンドヘアがちょっぴり大変なご様子です。
それでは綺麗にしていきます♡
before:状態確認と所見
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前髪がとにかく短く、後ろ髪はバッサリと切られているようにも見えます。
ご依頼主様も「この髪型は一体どうなってるの…?」と驚かれていました。
以前レディリカ様をお預かりした時にも感じたのですが、花のトリオちゃんたちは髪質が良いぶん、前髪がスルリと解けやすく崩壊しやすい傾向があるようです。
後頭部の毛量も少なく見え、全体が不思議な「噴水ヘア」に。
さすがのジュン様も、これでは本来の美しさが半減してしまっています。
植毛の状態を検証
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髪を詳しく見ていくと、長い髪の上に、均一な長さの短い毛が覆いかぶさるように植えられているという、ちょっと不思議な状態。
ご依頼主様は当初「カットされているのでは」と判断され、必要ならばと植毛をご希望でした。
ですが私は、この状態を見た瞬間に「よかった。カットではないかも」と感じました。
安易に植毛に踏み切るのではなく、まずは元の髪の流れを再構築してみる。
そしてカットがあった場合植毛しましょう。
とご提案させていただきました。
「お願いいたします」とのことでしたので、ここから本格的に編み直しをスタートします♡
がんばるぞ~^^
前髪を引き出して確認
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眉上に届く長さがある!
どうやらジュン様の髪の毛はカットされたわけではなく、髪の流れが乱れていたために短く見えていたようです。 一安心(^^♪
ご依頼主様に伝えると「えぇ本当に?カットじゃないんですか…?」とやや半信半疑なご様子。
この子の噴水ヘアを見たら、無理もありません。
植毛列を整えていく
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編み直しの準備として頭頂部の植毛列を丁寧に整理していきます。
最初期の初代リカちゃんには植毛列が一列のみの子もいますが、ジュン様は二列構造。
二列の髪は交差編みがしやすい反面、乱れやすく解けやすいのも特徴。
この2列の毛を上手く交差させながら編むことで、前髪は短く、後ろ髪は長くと整っていきます。
言葉にすると簡単なようですが、実際には技術と集中力が求められる繊細な作業です。
(目にも腰にもきます。笑)
編まない毛はまとめて避けておく
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余計な毛はまとめて避けておき、編み込む部分だけを残します。
このひと手間が重要で、ココをしくじると作業が困難になったり、仕上がりが悪くなったりします。
前髪が短い子ほど、毛流れの読みと完成イメージをしっかりすることが大切です
いよいよ編み込みスタート♡
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一本の束に対し、だいたい5本ほどの髪を取って左右に分けながら編んでいきます。
4~5束編んだところで、少し離れて全体のバランスも確認。
絡まっている植毛や、ループしている植毛を対処しながら編み進んでいきます。
バランスが上手くいっていなければ解いてまた編んで…この作業の繰り返しです。
半分ほど編み進みました、この時点でかなり綺麗に揃ってきた印象です。
次回!後編、噴水ヘアから、ジュン様本来の姿へ
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左半分の前髪を丁寧に編み直し「やっぱりカットじゃなかったんだ」という確信が持てたジュン様の噴水ヘア。
まだ右半分は噴水状態のままですが、この調子でいけばきっと…。
次回は、残りの編み直しからお湯パーマ、完成まで一気に進みます。
噴水ヘアから、ジュン様本来の姿へ
その劇的ビフォーアフターは、ぜひ【後編】でご覧ください♡
ここまでお読みいただき、ありがとうございました♡
リカちゃんのリペアやヘアセットのご相談は、どうぞお気軽にご連絡ください。
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